アボカド

アボカドが最初に日本に初めて導入されたのは明治時代からと言われていますが、詳細は不明です。いずれにせよ、戦後から現在に至るまで、そのほとんどが輸入品です。

アボカドの戦後史

アボカドは1990年代から急速に消費量が上がっていきました。栄養価の高さがPRされたことが大きいです。

アボカドの戦後史

1970年代
この頃、年間16トンの輸入でした。一人当たりの年間消費個数で計算すると1000分の1個、すなわちほとんど認知されていませんでした。
1980年代
1980年代半ばから、アメリカの寿司職人が考案したカルフォルニアロールが日本に逆輸入されてきました。アボカドはこの寿司のネタに使用されています。他にもわさび醤油など、食べ方は限定されるものの輸入量が増えてきました。
1990年代以降
アボカドの栄養価の高さがスーパーの店頭やテレビなどで報道され始めたのがこのころです。寿司だけでなく外食産業のメニュー全般にアボカドを使った料理が浸透し始めました。

アボカドの国内生産量と輸出入状況

アボカドの国内生産量

前述の通り、日本国内でのアボカドの生産はゼロではないのものの、ほとんど生産されていません。アボカドの国内生産事情については下記のトピックに記載しました。

アボカドの輸入量推移(1970年~2018年)

1988年当時はアボカドの輸入量は3370トンでしたが、2019年においては77287トンとその量は30年間で20倍以上となりました。その背景として、アボカドの栄養価値の高さがマスメディアを通して広まったことと、レシピの幅が広がり、色々な食べられ方をするようになったことが挙げられます。

輸入先については、日本への輸入が始まった当初はアメリカ産が主でしたが、健康ブームに伴い輸入量が激増してからはほぼメキシコ産となります。

【出典】財務省貿易統計(輸入、統計番号0804.40-010(生鮮アボカド)※1、集計期間:1970年~2019年※2)

※1 統計番号0804.40
アボカドは生鮮品(統計番号0804.40-010)と乾燥品(統計番号0804.40-090)に細分されますが、乾燥品としての輸入は集計期間内では2003年の210kgのみで、ほぼ全量が生鮮品としての輸入になります。

※2 1970年から1987年までの数値は当サイトの推定値です。
アボカドは1970年から1977年まではマンゴー、グァバ及びマンゴスチンと一緒の品目にまとめられていました。1978年はマンゴー及びマンゴスチンと一緒の品目にまとめられていました。そして、1979年から1987年まではマンゴスチンと一緒の品目分類にまとめられていました。よって、アボカド単品でのデータはありません。しかしながら、1988年以降のアボカドの輸入先はアメリカとメキシコのほぼ2か国であること、統計番号0804.50-019グアバ及びマンゴスチンは1989年の84kgを除き、1996年まで輸入実績がないことから1970年から1978年のデータについてはアメリカとメキシコの輸入量≒アボカドの輸入量、1979年から1987年のデータについては全量がアボカドの輸入量であると推計しました。

海外への輸出状況

日本から海外へアボカドの輸出実績はありません。日本での栽培に適した品種は輸入品のハス種とは違い皮が薄いベーコン種などのようです。皮が薄いため国外向け輸送は適さないです。

世界のアボカドの生産状況・貿易状況

アボカドの世界の主要生産国、輸入国の貿易状況となります。

【出典:生産量 FAOSTAT(2018),輸出入量 UN Comtrade Database(2018)

メキシコのアボカド生産量は全世界のアボカドの約34%

グラフより一目瞭然ですが、メキシコのアボカド生産量は圧倒的なシェアを誇ります。生産されたアボカドは約半分が輸出され、そのほとんどがアメリカです。輸出目的の生産がむしろメインなことが特徴です。メキシコ以外ではペルー、コロンビア、ケニアが海外向け輸出に取り組んでいます。

実際にメキシコのアボカド輸出量とアメリカのアボカド輸出量を比較してみるとアメリカのメキシコからのアボカド輸入が解禁となった1997年からグラフの線がほぼ重なります。アボカドの輸入量は全世界的に伸びていますがアメリカの伸びは他の国よりも明らかに大きいです。

メキシコのアボカド生産量・輸出量及びアメリカのアボカド輸入量の推移

例えば日本とアメリカの輸入量の推移を比べてみても輸入量の差は年々大きくなっていることがわかります。

日本とアメリカのアボカド輸入量の推移

アボカドの貿易率は31%

他の食品に比べてアボカドの貿易率は高いです。そして、そのうちの約半分がメキシコ産となります。メキシコ自体も生産したアボカドの約半分を輸出に回しており、アボカド生産はメキシコにとっては貿易収入を得る大事な手段となっています。

ドミニカ共和国、インドネシア、ブラジルは自国消費中心

生産国上位ですが、これらの国は自国での消費が中心です。ドミニカ共和国は郷土料理の付け合わせにアボカドを使用することが多く、インドネシアではアボカドジュースとして、ブラジルでは砂糖と混ぜてデザートとして食べる文化があるようです。

オランダは農産物の中継地点

オランダは輸入量と輸出量がほぼ同じです。これはオランダが中継貿易(輸入したものをそのまま輸出すること)と加工貿易(輸入したものを加工して輸出すること)が盛んで、アボカドもその例外ではないことが要因です。

その他

アボカドの国内生産事情

アボカドの国内生産品が全国的に認知され始めたのはここ5年ほど

農水省が国内生産量の調査を開始したのは2014年です。行政と農家が戦略的に取り組みを始めたのは愛媛県松山市が最初で2009年のことです。(参考)この愛媛県のアボカドの初収穫に合わせ農水省が生産量の実態調査に乗り出した感があります。

【出典】農林水産省特産果樹生産動態等調査(2014-2016年)

和歌山県では1980年代から栽培を開始していた

橋爪農園取材映像(Youtubeからの拝借)

こちらは和歌山県の橋爪農園取材時の映像ですが、この動画の1:54の所で農家の橋爪さんが栽培を始めて30年と言っています。こちらの映像が2016年のものです。30年前というと1986年で今のように市場が伸び始める前から生産を開始していたことになります。しかしながら、同映像中でも橋爪さんが言っている通り、生産量が少ないため、一部の愛好家を除き、これまでは市場にはほぼ認知されていなかったと思われます。しかしながら、昨今では農家もインターネット上で販売できるようになったため国産アボカドの認知向上とともに1個当たりの単価が輸入品の5倍以上にもかかわらず、売れ行きは好調のようです。

なお、2015年に和歌山県の生産量が統計上、急に増えていますが、こちらはデータの見落としなことが予想できます。動画で橋爪さんが言っている通り和歌山県の方が愛媛県よりも前から生産しています。(ただし、認知されていないため統計には載っていないのが実情と推測されます。)