食品別貿易情報 小麦

小麦は約9割が海外からの輸入品で、そのほとんどを政府が輸入して精麦業者に売り渡しています。政府は輸入価格より高い価格で民間業者(精麦業者)に売り渡し、差額分の利益(マークアップ)を国内産小麦産業の保護のために使っています。精麦業者はその小麦を小麦粉などに加工して、飲食店やスーパーに卸しています。小麦の輸入先はアメリカ、カナダ、オーストラリアです。ほぼこちらの3カ国から輸入しています。

1.小麦の戦後史

1975年以降、国内生産量と輸入量の割合はほぼ変化なし

小麦は戦争直後の食糧不足の時にアメリカの支援物資として入ってきたのがきっかけで、その後の輸入が始まりました。戦後、コメの生産量が急回復したのに対し、小麦に関しては輸入量が急増しました。輸入量は1975年にピークに達した後、需要は落ち着きました。一方、それと反比例するかのように国内生産量は終戦前(1926年~1944年)までの平均である113万トンを下回り、戦前よりも低い水準で生産量が安定しました。

【出典】食料需要に関する基礎統計・食料需給表

年表

1942年(戦争中)
(食糧管理法制定) 政府による配給制度
1945年(戦争後)
終戦直後の食糧不足。アメリカから小麦や小麦粉が無償援助品として輸入される。
1949年
食糧不足解消
1951年
日本が主権を回復すると同時にアメリカからの無償援助が打ち切りになる。
1995年
ウルグアイ・ラウンド交渉により小麦の輸入が関税化
2007年
相場連動制の開始

戦争直後の食糧難の時代、麦はアメリカから救援物資として輸入されました。食糧不足解消後も1995年のウルグアイ・ラウンドまでは食糧管理法の元、小麦は国しか輸入することができませんでした。ウルグアイ・ラウンド後は関税化が始まり民間業者でも輸入可能となりましたが高関税のため、実質的に民間業者による輸入は増えず、政府主導の輸入が戦後から今に至るまで継続しています。

しかしながら、2007年に輸入小麦については標準売渡価格制度(=年間を通じ固定価格で政府が売却)が廃止され、相場連動制が導入されました。この相場連動性は過去の一定期間における政府買付価格の平均値に年間固定の港湾諸経費とマークアップ(売買差額)を加える制度です。マークアップ分は主に国内小麦産業の保護に使われます。この制度変更により年間固定であった輸入小麦の売渡価格が、毎年2回改定されることとなりました。

2.小麦の国内生産量と輸出入状況

小麦の国内生産量と輸入量

1988年以降の小麦の国内生産量と輸入量の推移を折れ線グラフで表しました。小麦の国内生産量は元々、低いため輸入に頼ることがほとんどでした。棒グラフは麦の輸入元の国別内訳です。輸入はアメリカ、カナダ、オーストラリアの順に多いです。

【出典】作物統計(1988-2018年)・財務省貿易統計(輸入、概況品コード「小麦」00901(1988-2018年)

小麦の輸出量

日本から海外への小麦の輸出は統計上は実績がほとんどありません。

3.世界の生産状況・貿易状況

小麦の世界(主要国抜粋)における生産量、輸出量、輸入量について、まとめました。

【出典】USDA Foreign Agricultural Service PS&D(2019年)ただし、日本のデータは食料需給表 平成30年度の概算値

世界の小麦の生産量は約7億トン

小麦の生産量は世界全体で約7億トンです。そのうちEU、中国、インド、ロシア、アメリカの合計で約5億トンとなり、世界全体の70%近くを占めます。

小麦の貿易率は23%(2019年)

小麦の貿易率(=世界全体の輸出量÷世界全体の生産量)は23%(2019年)、主な輸出国はEU、ロシア、アメリカ、カナダなどです。中国とインドについては生産量が多いものの国内消費がメインで輸出量は少ないです。

輸入量が一番、多い国はエジプト

輸入量が多い国はエジプトです。次いでインドネシア、日本は8番目です。

4.その他

TPP協定交渉の結果とその影響

国による輸入は継続かつ民間業者が輸入する際の関税も現状維持のため急激な変化は起こりませんが、マークアップ(輸入差益)は9年目までに45%削減することに決まりました。近年のマークアップは売渡価格の約30%程度です。これが約半分になるので国内産小麦との価格差がより大きくなります。

参考URL:国産食糧用小麦の政府買入価格と政府売渡価格の価格関係の推移

しかしながら、マークアップが減っても原料に占める小麦の割合は小さいため、最終製品の価格にそれほどは影響ないことが予想されます。