さけ(鮭)

国内生産量と輸入状況

サケの輸入量と国内生産量(天然+養殖)の推移(主要輸入先別)

80年代から90年代前半までは主要輸入先はアメリカでしたが、90年代に入ってからチリ、ノルウェー、ロシア産の鮭の輸入量が増えていくと同時にアメリカ産の割合が減っていきます。特にチリ産の伸びは著しく、2000年に入ってから他の国からの輸入量が減っていますが、チリ産の輸入量は増え続けました。(2011年をピークに少し減って、ここ数年は13万~14万トン程度で安定)一方、国内生産量については2013年から2018年にかけて半減しており、養殖生産高に影響を与えた2011年の東日本大震災当時よりも生産量が下がっており、日本のサケ漁業は衰退化していることがわかります。

※財務省貿易統計(輸入、概況品コード'0070103、集計期間:1988年~2018年)、FAO FISH STAT(天然と養殖の合計、魚種:Salmons, trouts, smelts、集計期間:1988年~2017年)、(ただし、2018年の国内生産量は平成30年漁業・養殖業生産統計 さけ・ます類 海面・内水面の天然漁獲量・養殖生産量の合計)を元に当サイト作成

海外への輸出状況

サケの輸出量の推移

日本からのサケの輸出はベトナム、中国、タイ向けのものが多く、そのほとんどが加工されて日本または世界へ輸出されています。しかしながら、2011年の震災で輸出量が大きく減ってしまい、その影響が尾を引いている状況です。

※財務省貿易統計(輸出、概況品コード00701015 《さけ》、集計期間:1988年~2018年)を元に当サイト作成

輸出量は2011年の震災の影響で国内の主要漁獲地の一つである宮城県の漁獲高がなくなったことなどが原因と推測されます。

世界の生産状況・貿易状況

サケの漁業生産量(天然+養殖)

FAO FISH STAT(天然と養殖の合計、魚種:Salmons, trouts, smelts、集計期間:1988年~2017年)より当サイト作成

1990年代以降、日本だけ徐々に生産量は減少

1990年以降、ノルウェーやチリを中心に各国での養殖生産量向上により、サケの生産量は上がりました。しかし、日本についてはこの30年で逆に縮小しています。特に世界全体の養殖生産量が天然漁獲量を超えた1996年を境に日本の生産量が減少に転じました。

世界各国の生産量、輸入量、輸出量

ノルウェーとチリで世界の生産量の約50%を生産しています。また、輸出品の約50%がノルウェー産またはチリ産となります。他の国はそれらの国から買い付けている構図となっています。

【出典】FAO FISH STAT(2017年)

ノルウェーとチリで全世界のサケの約50%近くを輸出

世界の総生産量のおよそ半分がノルウェーとチリで養殖生産されたものです。また、各国ともに生産量の半分以上を輸出しており、重要な国内産業の一つとなっています。ノルウェーはポーランドやフランスをはじめとして、世界中に輸出しています。また、チリもアメリカ、日本を中心に多くの国に輸出しています。

ノルウェーはサケ養殖生産のパイオニア

ノルウェーでは国策としてサケ生産に取り組んでいます。生産されたサケは国内ではあまり消費されず、海外へ輸出されます。サーモンを生で食べることができるのは日本では基本的にノルウェーだけです。

チリは日本からの技術支援により養殖を開始・発展

もともと、チリにサケはいませんでしたが、日本からの技術協力がきっかけでサケの養殖を開始、発展しました。現在は生産量の半分以上が冷凍にてアメリカや日本などに輸出されます。

ノルウェーとチリ産のサーモンの温度帯別輸出量

UN Comtrade(2018)より当サイト作成

ノルウェー産は冷蔵メインで、チリ産は冷凍メインです。ノルウェー産の場合、凍らせずに空輸にて運搬のため消費期限が短い上に単価が高くなる傾向があり、輸出先は近場のヨーロッパ圏がメインになります。一方、チリ産の場合は冷凍コンテナにて輸送のため、ノルウェー産よりも輸送費が安く、品質保持期間も長い分、単価を安くすることができる他、輸出先も近隣諸国にこだわらずに済むメリットがあります。世界的にはノルウェー産の方が生産量及び輸出量が多いにもかかわらず、日本向けの輸出についてはチリ産の方が多い理由はこのあたりかと推測できます。

トピック

改正漁業法

平成30年12月14日、「漁業法等の一部を改正する等の法律」が公布されました。

簡単にまとめると減りつつある日本の漁業人口に歯止めをかけるために規制を緩和し、企業等が新規参入しやすくした法律ですが、少子高齢化社会な上に3K職場のイメージが強い漁業に就く若者がどれくらいいるのかは疑問です。しかし、そんなイメージを変えるために活動している漁業団体も生まれてきているようです。私達消費者は魚の消費量を増やすことが日本の漁業への分かりやすい貢献になりそうです。

グラフを理解するための補足事項

サケ(鮭)はマス(鱒)とも呼ばれかつては海で生活する期間がある魚種を「さけ」、淡水で一生を送る魚種を「ます」と呼んでいたそうです。しかし、現在は明確に区別されてはいないようです。グラフ作成に使用したデータは輸入貿易統計(2019.04.01)です。貿易統計ではさけ科という大きな括りがあり、輸入形態(一匹丸々or切り身)と温度帯(冷蔵or冷凍)でデータが分かれます。なお、一匹丸々輸入するものについては「ます」、「太平洋さけ」、「大西洋さけ」、「その他のさけ」などさらに細かいデータも取得可能です。なお、鮭フレークなど調味付けした食品は本統計には含みません。(加工食品の扱いになります。HSコード1604.11)

HSコード品名備考
0302.11(生鮮・冷蔵)・0303.14(冷凍)ます代表例:トラウトサーモン、ニジマス
0302.13(生鮮・冷蔵)・0303.11・0303.12(冷凍)太平洋さけ代表例:しろざけ、べにざけ、ぎんざけ、キングサーモン(ますのすけ)
0302.14(生鮮・冷蔵)・0303.13(冷凍)大西洋さけ代表例:アトランティックサーモン
0302.19(生鮮・冷蔵)・0303.19(冷凍)その他のさけ
0304.41(生鮮・冷蔵)・0304.81(冷凍)太平洋さけ・大西洋さけ等のフィレフィレ:3枚おろしにしたもの
0304.42(生鮮・冷蔵)・0304.82(冷凍)ますのフィレフィレ:3枚おろしにしたもの

さけとますについては概況品コードが設けられています。概況品はこれらのHSコードの合計値として検索できるので、当該品目のように該当コードが多数ある時に便利です。

参考リンク

鮭の漁業(マルハニチロホールディングス)

鮭の漁業の歴史が分かります。

特集 サケ・マスの輸入(2013年12月18日・東京税関調査部調査統計課作成)

2013年までのサケ・マスの輸入状況を把握できます。

今月のトピックス No.216-1 グローバル化する養殖産業と日本の状況~ノルウェー・チリにみるサーモン養殖の産業化と三陸ギンザケ養殖業復興への道筋~(2014年8月21日・株式会社日本政策投資銀行 産業調査部作成)

サーモン養殖のグローバル化による国内養殖事業の衰退化に対する警鐘と問題解決への提言をしています。