豚肉|食品別貿易情報

豚肉は1971年に輸入自由化(=関税を払えば誰でも輸入できる。)されて以降、国内生産量と比較すると緩やかではあるものの年々、その輸入量は増加の一途を辿ってきました。豚肉には差額関税制度という独自の制度が設けられています。この制度によって、安い部位ばかりでなく、高い部位の購入意欲も高まり、輸入部位のバランスがとれるというのが国の見解です。

1.豚肉の戦後史

豚肉は1971年に輸入が自由化されて以降は国内生産量に比較すると緩やかなものの年々、輸入量は増えていきました。2000年代に入ってからは国内生産量が若干多いものの、国産と輸入でだいたい同じくらいの割合になりました。ここ数年間は輸入量の方が若干、多めとなっています。

【出典】食料需要に関する基礎統計・食料需給表

国内生産量、輸入量ともに枝肉ベースに換算した数値です。

豚肉の戦後年表

1945年
(終戦直後)物価統制令の対象品となる。
1949年
物価統制令の対象品から除外される。
1971年
輸入自由化により輸入量が増え始める。差額関税制度の導入。
2019年
TPP11協定施行

豚肉の差額関税制度は日本かつ豚肉特有の関税制度です。差額関税制度では基準輸入価格(546.53円)といものが存在します。詳細はここでは割愛しますが、単価が安い場合は基準輸入価格との差額分だけの関税を課されることになり、単価が高い場合はその課税価格に4.3%の関税が課されることになります。結果としてある程度、単価が高い方が関税が安くて済むことになります。

2.豚肉の国内生産量と輸出入状況

豚肉の国内生産量と輸入量の推移

1988年から2018年の30年間の豚肉輸入量の推移を調べました。1971年(昭和46年)の輸入自由化以降、輸入量が年々、増えていきました。主な輸入先はアメリカ、カナダ、デンマーク、スペイン、メキシコです。

【出典】食料需給表(生産量、輸入量、財務省貿易統計(輸入、概況品コード「豚肉」0030501(1988-2018年)、全て枝肉換算

豚肉(生鮮、冷蔵または冷凍品)の輸入が可能な国

豚肉の主な輸入先はアメリカ、カナダ、スペイン、デンマーク、メキシコですが、それ以外の北米やオセアニア地域、そしてヨーロッパなどからも輸入実績があります。一方、アジア圏は輸入は原則不可です。(加熱処理されたものは条件付きで輸入可能な場合あり。)これは家畜伝染病予防法による防疫措置のために輸入可能な地域が制限されているためです。また、決められた施設で決められた処理を行っていることが条件となっています。

豚肉の輸出状況

日本は600トン(国内生産量の0.1%に満たない量)ですが、豚肉を海外に輸出しています。輸出先は香港、シンガポールがほとんどを占め、アラブを除いてはほぼアジア圏に限定されています。

世界の豚肉の生産量・貿易状況

豚肉の世界(主要国抜粋)における生産量、輸出量、輸入量について、まとめました。

【出典】USDA Foreign Agricultural Service PS&D(2019年)ただし、日本のデータのみ食糧需給表(2018年)による

圧倒的な生産量にもかかわらず、海外からさらに豚肉を輸入している中国

中国だけで全世界の豚肉生産量の50%近くを占めます。さらに輸入量も世界一です。元々、肉の中でも豚肉を最もよく食べるお国柄に加え、その消費量も増加しています。自国生産だけでは足りなくなってきているため、輸入量も増えつつあるようです。

日本も豚肉の輸入大国

日本も中国の半分程度ですが、豚肉の輸入大国です。

豚肉の貿易率は9%

豚肉の貿易率(=世界全体の輸出量÷世界全体の生産量)は9%(2019年)、輸出量が多いのはアメリカ、EU、カナダで輸出量全体の8割を占めます。

TPP協定交渉の結果と今後の見通し

TPPと日米貿易協定と輸入豚肉

輸入豚肉の関税制度は価格が安い部位を輸入する場合は高い関税を課し、価格が高い部位を輸入する場合は低い関税を課す差額関税制度を採用しています。これは安い部位ばかりが輸入されることを防ぐことを目的としています。TPP発効後は発効後10年目に従量税50円/kg・従価税無税に削減されるが、引き続き「分岐点価格で課税額が最小になる」仕組みは維持されており、この仕組みを利用した輸入はこれまで同様続くことが予想されます。なお、50円/kgの従量税は、近年の平均課税額23円/kgの約2倍となります。なお、日米貿易交渉においてもTPP11同様の関税条件となりました。これはアメリカがTPP参加国と比較して競争条件で不利にならないようアメリカ側に配慮したと同時にTPPを離脱したアメリカとの条件がTPP11よりも好条件とはならないようTPP参加国側にも配慮した内容です。

今後の国産豚肉

価格面だけでは国産品は輸入品に太刀打ちできない状況です。牛肉同様、高級路線に移行できた畜産業者だけが生き残り、そうでない業者は廃業を余儀なくされることが予想されます。

中国のアフリカ豚コレラ問題

2018年8月から中国では豚コレラが蔓延しており2019年9月現在も進行中、国内生産量が2割から3割程度、減少していることが報道されています。発生当初は処分のために中国国内の単価が下がったようですが、現在は供給不足のため単価が大きく上がっているようです。世界の生産量の50%を中国が占めており、なおかつそれでも不足しているため生産量の4%程度を輸入しているという事実はすでにこれまでの統計から分かっています。現在、中国は不足している分をアメリカからの輸入で賄おうとしています。上記とは矛盾しますが、需要が逼迫し、日本向けの価格が国内価格並みになれば国内品と輸入品の需給バランスが取れてくるでしょう。