TPPと貿易統計〔食品編〕

当サイト『TPPと貿易統計〔食品編〕』では2018年12月30日に発効となったTPP協定が日本の食生活にどのような影響を及ぼすのかについて、過去の歴史を振り返りながら考察しています。

1.はじめに~TPPとは

TPP加盟国

TPPとは環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership)協定の略で、太平洋を取り囲む国々の間で、経済連携協定(モノやサービス、投資などが出来るだけ自由に行き来きできるように各国の貿易や投資のやルール作りを進めるための国と国との約束事)の一つです。です。 TPPの発端は2006年にシンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイの4か国で発足したP4協定です。この協定が拡大する形でアメリカ・カナダ・オーストラリア・マレーシア・ベトナム・メキシコ・ペルー・シンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイ・日本の12カ国となった後、2016年2月に全加盟国が協定の内容に署名しました。しかし、2017年にアメリカが協定から離脱、残りの11カ国の協議により修正した内容が2018年3月8日に加盟11カ国の間で署名され、同年12月30日に協定の内容が発効(有効)※となりました。現在のTPPはアメリカを除く11カ国での協定という意味で正確にはTPP11協定になります。
※一般的な国際条約は署名(合意)してから、その内容が有効となるためには国内手続(批准)の完了が条件となっています。そして、TPP11協定においても効力発生の要件として、同協定の署名国の過半数の国がそれぞれの関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者(ニュージーランド)に通報した日の後、60日で効力を発生する旨が規定されています。2018年10月31日にオーストラリアが国内手続を完了し、寄託者への通報が完了しました。これにより、60日後の2018年12月30日に協定の内容が有効となりました。

2.TPPの歴史的背景

始まりはガット(GATT)、そしてWTO(世界貿易機関)へ

第二次世界大戦の原因の一つとして、各国が自国内の経済を保護するために取った政策(ブロック経済)が挙げられます。この政策は不況による自国の産業や雇用を守るためのものでした。具体的には各国が参加する経済圏内でのみ貿易取引を行うような経済政策を立てました。具体的には経済圏内の国には関税を優遇、経済圏外の国には高額な関税をかけるというものでした。これにより世界の貿易取引は大幅に減少しました。
その結果、自国内で資源を持たない国(持たざる国)は困窮したため、資源を求めて国外に侵略していきました。これが第二次世界大戦を引き起こした原因の一つと言われています。

資源の不均衡が戦争を引き起こし、その資源の不均衡は行き過ぎた自国内貿易の保護政策であったことを踏まえ、1948年に貿易拡大を目指すためにガット(GATT)が発足しました。ガット(GATT)はGeneral Agreement on Tariffs and Trade(関税及び貿易に関する一般協定)のことで、関税撤廃や貿易交渉の自由化を目指した協定です。ガット(GATT)の取り組みは多くの例外を含み、決して理想通りに進めることができたわけではありませんが、8回に渡る国際交渉の結果、世界の貿易は拡大しました。なお、1995年にガット(GATT)はWTOに引き継がれました。

FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)

WTOの加盟国は現在、164か国で、その内訳は先進国から後発発展途上国まで多岐に渡ります。そのため、各国の利害調整が大変、困難です。これを解消するために世界各国は2カ国以上で貿易交渉を行うFTAまたはEPAを推進していきました。FTA(EPA)協定を結んだ国同士はWTOで定められたルールに上乗せしたルールにて国際取引を進めることが可能となります。

FTAとEPAの違い

FTAが主に関税や輸入取引量に関するモノの貿易を前提とする協定であるに対して、それ以外にもサービス貿易や知的財産の保護や投資ルールの整備など経済活動における協定も含めたものがEPAとなります。日本は現在,アジア地域を中心とした11の国・地域との間でEPAの協定を結んでいます。

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)

これまでEPAは2国間交渉が主流でしたが、2000年に入り、地域間でまとまって交渉する動きが世界で出てきました。これは国ごとに2国間交渉を繰り返すよりは地域間でまとめて交渉した方が手続きやその後の運用がより円滑に進むというスタンスに基づいています。TPPもその地域間協定の一つです。

アメリカが抜けて、最終的にTPP11に

トランプ大統領就任と同時にアメリカがTPPから抜けました。これはTPPという枠組みでは自国に有利な交渉を進めることができないというトランプ大統領の思想によるものと思われます。トランプ大統領はアメリカの発展のためには従来通りの2国間交渉を進めていくのが良いと考えているようです。

3.TPP協定の特徴

TPP協定の肝は基本的には他のEPAと同じように、国境を越えた経済活動をスムーズにするための必要なルール作りです。ただし、これまでのEPA協定よりも多くの項目が対象になっていて、さら高いレベルの自由化が目標とされています。

TPPが日本国内の産業に及ぼす影響

TPPにおける合意内容では大多数の食品の関税が即時撤廃または段階的に大幅に削減されることになっています。関税が安くなるということは海外からその分だけ安い価格で輸入することができるということと、海外へも安い値段で輸出することができるという両方のメリットがあります。一方、海外から国内品より安い価格ででモノが買えるということは、その分、国内で作ったものが売れなくなることを意味し、国内産業の衰退につながり、より多くの輸入依存につながります。
政府の交渉により重要5項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料)については594品目のうち約7割に当たる424品目は関税撤廃の例外となりました。

4.TPP協定以外の重要な協定

日米貿易協定

TPPを離脱したアメリカは早速、日本との2国間貿易協定の交渉を始めました。TPPを離脱したアメリカとTPP以上を超える条件での取引を呑む訳にはいきません。食品全般について、原則TPP同様の関税率とすることで決着がつきました。2020年1月1日に発効予定です。

日EU・EPA

欧州連合(EU)との経済連携協定です。2013年3月に交渉開始、2018年7月署名、TPPより若干遅れて2019年2月に発効となりました。ヨーロッパは美食の国が多いため、コモディティーとしての食品ではなく、高付加価値の食品の輸出先になることが期待されます。

5.当サイト構成について

食品別貿易情報

当サイトのメインコンテンツです。各食品毎に世界全体や日本国内での生産量、貿易取引量を調べた上でTPPやその他EPAが日本貿易や国内生産量に及ぼす可能性を調べました。

国内生産量と輸入状況

該当品目の海外から日本への輸入状況を調査しました。財務省貿易統計を時系列または輸入先別にまとめて、国内生産状況と比較することにより、その商品の流通状況を調べました。

海外への輸出状況

該当品目の日本から海外への輸出状況を調査しました。財務省貿易統計を時系列または輸出国別にまとめて、動向を調査しました。

世界の生産状況・貿易状況

該当品の各国における生産量、輸入量、輸出量を調査しました。データはFAO(国連食糧農業機関統計)データベース(FAOSTAT)または各国の統計データに基づいています。当該品の主要生産国、輸出国、輸入国を中心にデータをまとめました。世界全体における日本の立ち位置を把握できます。

TPP協定が及ぼす影響

TPP協定が当該食品の貿易量、国内生産量にどのような影響を及ぼしているのかを追跡しました。

食品貿易の基礎知識

当サイトの内容をより理解するための基礎知識または関連情報を掲載しています。

6.著作権や免責事項について

著作権

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